海外FXは、少ない元手で大きな金額のポジションが作れるハイレバレッジや、ロスカットの執行レベルの低さ、取引口座開設のスピーディーさなど国内FXには無い様々なメリットがあります。
近年ではその国内FXにおいて「レバレッジ規制」がまた再び施行されるのではといった状況でもあり、これを機に海外FXへ乗り換えてみようかと考えるトレーダーもいるのではと思われます。
そこで先ほどのメリットが非常に魅力的に思われてくるのですが、海外FXにも当然のことながら好ましくない点(デメリット)が存在しております。
できるだけ最初のうちに海外FXのデメリットを理解し、手堅く着実にステップを踏んでいくことが海外FXを上手に利用する上では大切なことです。
ここではそのデメリットとなる事柄を7つ取り上げ、対策法とともに解説していきます。
スプレッドが広い
海外FXのデメリットとしてまず目に付くのが通貨ペアのスプレッドの広さが挙げられてきます。
「取引業者ごとの米ドル/円のスプレッド」(例)
海外FX業者 | スプレッド |
XM | 1.6pips |
Axiory | 1.7pips |
Land-FX | 0.8pips |
TITAN FX | 1.33pips |
HotForex | 1.7pips |
Bigboss | 1.3pips |
国内最低スプレッド | 0.3pips |
現状としましては、多くの取引業者間で横並びといった状態であり、なかなか避けづらいデメリットとなっております。
回避策としては、海外FXでは同一の取引業者内で複数の口座を開設することが可能で、その中で「マイクロ口座、ナノ口座」といった派生タイプの口座を新たに開設することです。
ただ、そういった口座では「取引手数料」が存在するのが一般的でそのスプレッドの狭さを完全に享受できるわけではありません。
海外FXは、なぜスプレッドが広いのか?スプレッドの広さと豊富に用意された通貨ペアの関係とそれでも海外FXを選ぶ理由とは?
ハイレバレッジの裏返しアレコレ
口座資金が十分でないとロスカットや資金の全損になりやすい
少ない資金で大きなポジションを持つことができるのがハイレバレッジの魅力、または海外FXそのものの魅力にもなっています。
しかし、その少ない資金でフルポジションを建ててしまいますと、含み損のための余剰分も少なくなります。
またポジションの大きさがちょっとしたレート変動で大きなマイナスを生み出しますので、ロスカットまでの距離が非常に短くなるといったデメリットもあります。
メンタルにのしかかる負担が大きい
上記でちょっとしたレートの変動のことに触れましたが、ハイレバレッジによって大きな額の含み損が一瞬にして現れることも少なくありません。
このデメリットに慣れていないうちはメンタルへの負担が非常に大きく、まともな行動が取れないうちにロスカット等を迎えてしまうことにもなってきます。
例えば「1pis = 3,000円」の価値を実験するには30万通貨のポジションを用意しなければならず、レバレッジ25倍の国内FXを使った時、その必要な証拠金は米ドル/円が100円の場合は120万円となります。
それが海外FXの場合は、レバレッジ200倍で15万円、400倍になりますと7万5千円で済むことになります。
あえてハイレバレッジの恐ろしさを経験しその後のトレードに活かしたいという場合、海外FXを利用すれば費用を安くすませる事ができます。
国内FXに戻りづらい
ハイレバレッジには資金効率を高められるといったメリットが存在しているのですが、こういった発想がなく、やはりあの激しい損益変化に魅了されてしまいますと、国内FXの証拠金の高さがネックとなりFXを楽しむことが出来なくなってしまいます。
カード入金のわな
海外FXはクレジットカードによる入金が主流ですので、手元に資金がなくてもカードを使ってハイレバレッジに興じることが手軽にできてしまいます。
一方、国内FXでは現在カード入金を取り扱ってない業者が多く、どうしても今すぐFXがやりたいといった場合はカード入金が可能な海外FXを選ぶようになります。
そして、カード入金にはその後の返済負担が残りますが、ハイレバレッジとカード入金の手軽さに心を奪われ、しかもトレードでまともに資金が回収できない状況となりますと、経済的に多大な悪影響を及ぼすこととなってしまいます。
取引環境がとっつきにくい
取引環境については、海外FXの場合はMT4(メタトレーダー4)という取引ツールが主流で、MT4には多彩な機能が備わってたり、柔軟にカスタマイズができるようなメニュー配置やデザインがなされています。
非常に機能的に作られておりますが、デメリットとしては初心者が感覚的に使いこなせるような作りとは言えない構造である事です。
出典:XM
国内FXの取引環境で慣れていますと特にそのギャップが感じられ、MT4を中心とした海外環境に慣れるまでに時間がかかる可能性があります。
MT4に関しては、同じ機能のメニューが画面上部のメニューバー、チャートの右クリックメニュー、その他特定箇所に配置されているといったパターンも多くあり、マスターすべき点が実はそう多くはない場合があります。
特に裁量トレードやスキャルピングが主な取引スタイルという方であれば、MT4であっても不必要なメニューはたくさんあるので、あの多彩なメニューに動揺することはありません。
基本的に各メニューは次のようなカテゴリーのいずれかに属し、まずは求めている機能のカテゴリーと閲覧している部分のカテゴリーを比較しながら使い方や環境の細かな部分を覚えていくのがおすすめです。
- 注文に関する機能
- テクニカルツールに関する機能
- チャート表示など周辺環境を調整する機能
- 板情報に関する機能
- EA(自動売買ツール)に関する機能
- アカウント・口座情報に関する機能 など
出金が面倒
国内FXの場合の出金処理は、出金額の入力と出金予約ボタンのクリックで数日後には出金が完了されます。
しかし海外FXの場合は、アカウント画面からの出金手続きと同時に、身分証明書の提出が必要だったり、クレジットカード入金した分とトレードで稼いだ分とで出金方法を変えなければならないといったデメリットが存在します。
これは、国境を越えた資金移動に対しては国際的な監視の目が厳しい現状であることが主な要因となっており、特に誰による送金かといった事や送金の目的に強い警戒が向けられているからであります。
お金のやり取りは上記の通り厳密な手続きが必要となっておりますので、基本的な出金手順を正確にこなすことや、顧客という立場を一旦忘れ国際的なルールに反しない心がけも大切です。
また銀行送金の場合は稀に金融機関から資金を入手した手段を電話で聞かれることがあり、金額が大きくなりますと問い合わせが来る可能性が高まっていくことも合わせて覚えておくことが賢明です。
もし銀行から問い合わせがあった時は「為替・FXによる収入」と答えれば大抵は問題ありません。
税金が高い・繰越損失ができない
まず、国内FXや株、先物取引など「国内で取引されるもの」に関しては金融商品取引法の適用を受ける存在となっています。
一方、海外FXはその名の通り国内での取引にあたりませんので「同法の適用を受けない」ということになります。
また金商法の適用外となっていることから、「繰越損失」ができないというデメリットもあります。
このような基本的な取り扱われ方に対しては成す術がありませんが、次の方法によって所得控除や節税を図り実質的な税率を下げるといった結果を出すことができます。
「経費」
取引で必要となった物品やサービス等の利用で発生した費用を「経費」として確定申告の際に控除の材料に使います。
経費の対象となるものは「海外FX取引で直接的に関わったもの」で、ネット等の通信費や相場分析のためのFX関連書籍、各種セミナーへの参加費用(及び交通費)、PC/通信機器の購入費などになります。
「保険料などの控除」
配偶者控除、医療費控除、各種保険料控除なども申告書に記入して控除を申請します。
「複数の海外FX口座の相殺」
複数の海外口座があり、一方の口座で損益がマイナスとなっていれば利益が出ていた口座との合算により総合的な利益額を下げることができます。
ちなみに国内FXとの合算・相殺はできません。
追証が無いことはメリットか?
海外FXのメリットの1つである「追証なし」は、どれほどの大暴落が発生しても損失は「口座資金いっぱいまで」というありがたいサービスです。
また「ロスカット」の制度がありますが、海外FXはその執行率(証拠金維持率)が10~30%程度が多く、その適用レベルが国内のものと比べ非常に低いといった特徴があります。
もしこのロスカット率が国内FX並みの100~80%程度であれば、ロスカットされる機会が増加し、特にハイレバレッジの売りの1つである豪快な損益変動が発生しにくくなるなど海外FXの魅力が損なわれてしまうこととなります。
従ってロスカットレベルは必然的に低くせざるを得ないものとなってきます。
そしてこの低いロスカットレベルが適用された場合、口座資金の大半が失われることとなり、それならばロスカットに代わる分かりやすい損切りの手段として「追証なし」が登場することになるのです。
海外FXにおける「追証ゼロシステム」とは?国内FX業者には無い、損失をリセットにしてくれる「追証ゼロシステム」について解説します。
海外FX業者の法的側面の順守が心配
異なる国家間における懸念
海外FX業者はその信頼性や安全性の確立のため、主に以下のような取組みを行っております。
- 金融ライセンスの取得
- 口座資金の分別管理
- インターバンク直結の注文処理
- コールセンターの充実 など
その他にFXサービス利用に関するいわゆる「利用規約」や「プライバシーポリシー」なども該当してきます。
ところで一般的なケースとして、トレーダーと取引業者はそれぞれ異なる国家に属し、また法律についてもそれぞれの国の法律が普段は適用されております。
特に利用規約や取引に関する業者独自の周辺的なルールといったものに関しては、その決まりの根拠性が乏しいことが予想され、私たちに何かあったとしても取引業者に対する強い動機となるかどうか、甚だ疑問が残ります。
またインターネットという物理的に隔離された世界においては、具体的な被害回復策を行うにも困難な出来事等が予想されてきます。
予防・想定も効果的
こういった懸念に対する対策としましては、当サイトにあります海外FX業者の選び方などを参考に取引業者を選択したり、オンライン限定であってもできるだけ世間への露出が高い取引業者を選ぶことがまず挙げられます。
基本的に上記のような業者選定は、何かあった際に救済の手が差し向けられる確率を高める努力であり、それは確かに法律に備わる拘束力といった強く確かなものではありませんが、口座開設の前からできるだけ予防策を張っておくことが大切であるということです。
予防やそれに付随する予測・見通しはシミュレーションや想定訓練といった性質を含み、いざという時に少しでもそういった経験や知識を繰り出すことで、被害を初期段階で最小限に食い止められる可能性を高めることに繋がっていくのです。
まとめ
海外FXはハイレバレッジといったトレード時における金銭的な魅力が大きいのですが、逆にデメリットにおきましても金銭的な反動の大きさが無視できません。
本文ではハイレバレッジのデメリットとして4つのケースを取り上げてみましたが、その中で特に「含み損の巨大さに対する恐怖」や「カード入金」のケースは経験してみないと本当の怖さが分からないものとなっております。
また、カード入金のケースは「分かったが最後!」といった性質でもあり、日常レベルからのメンタル管理が非常に大切であるという事です。
この他にもスプレッドが広い件や出金時の手間については、そのまま現状を受け入れるしかないといった性質ですが、乗り越えていく事が決して難しいデメリットではありませんし、なにより海外FXのメリットを重視してトレードに励むべきです。
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