日本国内でもFXが十分に行える中で、現在海外FXの人気が高まっています。
海外FXは、取引口座を運営しているのがその名の通り外国業者で、その使い勝手やトレード環境、資金の入出金に関することなど国内業者と色々な面で違いがあります。
また、海外にあるFX口座ということでセキュリティや資金保全等の面で心配となってくるのも当然のこととなってきます。
そこで本ページでは、このような実情がある中で海外FXを利用するそのメリットや注意点、また海外FXの基本的な事柄全般について解説していきます。
なぜ海外のFX業者を利用するトレーダーがいるのか?
国内にも数十社にのぼるFX会社があり、誰でも簡単にその口座を作成することができる中で、いったいどのような点に海外FXを利用する価値があるのでしょうか?
レバレッジ規制がない
正確には、海外の金融業者・FX口座であるため海外FXは日本の金融商品取引法の適用外となり、同法によるレバレッジ制限を受けず高いレバレッジ(ハイレバレッジ)をかけることができます。
国内FXのレバレッジは最大で25倍ですが、海外のものになりますと300倍や500倍、中には1,000倍を超えるレバレッジが可能な取引業者も存在しております。
「海外FXにおける業者ごとの最大レバレッジ」(例)
これによって国内FXよりも少ない資金で多くのポジションを建てることが可能となりますので、つい口座を作ってしまうのもうなずけます。
ロスカットレベルが低い
これも上記ハイレバレッジと同じく海外業者が日本の金商法の適用とならないためにできるものです。
国内業者の場合ロスカットレベルは80~50%程度が一般的ですが、海外FXでは20~10%という低水準の業者が多いです。
ポジションに大きな含み損が発生していてもそう簡単に強制決済されないのは海外FXの大きな魅力の1つとなっています。
追証ゼロ
相場急変時においては瞬く間にポジションに大きな含み損が発生し、そのあまりにも速い値動きによりストップロスやロスカットが発動せず、口座資金以上に損失が出てしまうことがあります。
この時国内業者の場合は、預け入れていた金額を超える損失部分についてユーザーは一時的に借金を抱えることとなり、その部分の金額をFX業者に支払わなければなりません。
しかし多くの海外FXの場合、損失はあくまでも口座に入れていた資金額までとしており、予想外の大損失に見舞われても最大で口座資金の額までに抑えることができます。
ボーナス
入金額の50~100%にあたる部分の額を「入金ボーナス」などとしてボーナスを提供している海外FX業者が多いです。中には新規入会キャンペーンの際に入金なしでボーナスがもらえるケースもあります。
こういったボーナスはトレード資金として使うことはできますが出金することが認められていないのが一般的です。
ただ口座資金が自分で用意する金額以上になりますので、より多くの新規ポジションを建てやすくなりトレーダーに優位なサービスであります。
金銭的なメリットが海外FXの特徴
主に以上までの理由により海外FXが一部のトレーダーに選ばれているのが現状です。
海外FXの基礎知識
ここで海外FXについての基本的な事柄について説明します。
海外FX業者の所在地
海外FX業者は世界中に多く存在しており、その所在地はコールセンターや営業支店などについてはいくつかの国々に分散されています。
一方本社(本拠地)としてはベリーズ、キプロス、ニュージーランド、ギリシャといった日本人の海外旅行先・なじみ深い国としてはあまり見られない国が多いのが特徴です。
出典:Axiory
日本人向けのサポート
海外に所在するFX会社として実際には日本人だけでなく様々な国のユーザーを抱えております。
その中で英語による基本的な顧客対応が見られますが、近年においてはサイト内の説明や通知メールの記述などを日本語でしっかりと表記したり、日本人スタッフをコールセンターに配置したりするなど、日本人でも快適に取引が行えるような配慮を行っております。
複数の口座が作れる
国内FXには無い特徴の1つとして、海外FXでは複数の性質の異なる口座が用意されている点があります。
例えばAxioryの口座の場合、「スタンダード口座」と「ナノスプレッド口座」が用意され、共通点とともに次のような違いがあります。
スタンダード口座 | ナノスプレッド口座 | |
最低入金額 | 2万円 | 2万円 |
最小注文単位 | 1,000通貨単位 | 1,000通貨単位 |
取引手数料 | 無料 | 3$(10万通貨あたり) |
スプレッド(米ドル/円) | 0.4pips~ | 0.1pips~ |
注文方式(業者側) | NDD STP方式 | NDD ECN方式 |
最低入金額や最小のポジション数は同じですが、ナノスプレッド口座はスプレッドを狭くする代わりに「取引手数料」を徴収しています。
「注文方式(業者側)」とは、海外FX業者が顧客から受けた注文をどのように処理するのかというものです。
この違いについては結果的に自分が発した注文の後処理の正確さ・透明性・戦略性を高めたいといった目的でいずれかを選択しますが口座開設時においてはそれほどこだわらなくてもいい項目です。
出典:Axiory
表示されている時刻
チャート画面等に表示されている時刻がその取引業者やサーバーの所在地に基づいて表示されており、当然日本の時刻表示で慣れている日本人からすれば参照しにくいものとなっております。
全ての時間チャートでこの時間のズレを考慮する必要がありますが、特に頻繁に見ることとなる短期チャートには十分注意したいところです。
この時差を調べるのに参考としては以下のようなサイトがあります。
出典:時差計算
また取引ツール「MT4」においては多くの海外FX業者がこのツールを採用していることから、異なるFX業者を同時に使っていても同じMT4であれば時差は同じく7時間程度が予想され、あとは最初に1度確認をしておけば大丈夫です。
「取引履歴にも時差が発生」
取引履歴の時刻表示も時差が含まれたものとなります。なんだかややこしいものです。
時差があることで過去のトレード履歴からトレードの検証を行う場合や、確定申告における申告範囲の判断にも注意が必要となってきます。
また海外独自の日付表示として日本では「2019年1月10日」とするところを「10/1/19」といった表示がなされていたりします。
トレードの感覚
成行注文、指値、逆指値、IFO、OCOなどといった注文方法は国内FXと同じです。ただ、トレード画面においては部分的に英語表記やカタカタ表示だけで済ませていることがあるのも事実です。
取引ツールの1つである「MT4」は海外だけでなく一部の日本人トレーダーにも好評な取引環境ですが、実際には見慣れないメニュー表示や機能がイメージしにくいアイコンがあるなどいかにも国外のものといった雰囲気があります。
これは国内と海外の感覚や文化の違いによるものと思われますが、繰り返し使っていくうちにこれらの違和感に慣れていく必要があります。
出典:XM
(画像はMT5の取引画面)
トレードアプリ
海外FXにおきましても取引が行えるスマホアプリが用意されております。こちらも上記のようなとっつきにくさがある程度存在しておりますが、スマホアプリであるが故に感覚的に簡単に操作できるアプリが多いです。
例えば下の画像はMT5という取引プラットフォームのアプリ画面です。
出典:XM
この画面の適当なところをタップしますと次のような表示が出てきます。
出典:XM
これはチャートの時間足の選択、テクニカルツールの修正、アプリの設定などが行えるメニューを表示しています。
各項目は通常の画面上部にあるメニューからアクセスすることも可能ですが、こういった国内FX業者では見られない仕組みがあるのも海外FXの特徴です。
海外FX業者の信頼性
海外FXはそのやりとりのほとんどがインターネット上であり、かつ海外に存在する取引業者との関わりであることから、セキュリティや資金の安全性などに漠然とした不安が募るのではないかと思われます。
ここでは海外FX業者が実施している信頼性への取組みや、安心した取引が行える仕組み・ルール等について説明します。
XMの取組み
出典:XM
海外FXサービス「XM」を運営するTrading Point社の場合、セーシェル共和国金融庁から証券ディーラーとしてのライセンスを得ております(番号:SD010)。
出典:XM
また世界120都市に顧客や事業の協力先をかかえ、2018年には市場分析やカスタマーサービスの優秀さなどにおいてイギリスの投資関連雑誌から表彰を受けていたり、世界各地で開催される投資・金融などに関する国際会議に出席するなど広くオープンな活動を行っています。
2016年からは陸上100m走の世界記録保持者ウサイン・ボルトのスポンサーとなっていることは有名です。
LAND-FXの取組み
出典:LAND-FX
国内FX業者と同様、口座資金は別の組織にて分別管理されております。また運営会社(Landprime Ltd.)の倒産時においては最大5万ユーロまで資金が補償されることになっております。
投資家の保護や公正な取引を目的とした英金融行動監視機構(FCA)への登録(登録番号:709866)や次のような公的組織へ登録されています。
- FSA(金融サービス機構、23627 IBC 2016)・・・国際的な金融サービスの安定・保全に順守
- EEA(欧州経済領域)・・・EU各国における営業許認可の取得
また24時間体制の電話によるサポートやメールによる問い合わせ対応も当然完備されております。
出典:LAND-FX
各社の様々な取組み
FX業者によりこの取組み状況は様々ではありますが、FX参加者は日本人が非常に多いことから、日本の法規制の対象外である海外FX業者であっても日本の法律やコンプライアンス等に準じた取組みが行われております。
「TRADEVIEW」
出典:TRADEVIEW
英国領ケイマン諸島金融庁に登録(CIMA、登録番号585163)、各種スポーツチームの支援
「GemForex」
出典:GemForex
日本のGMOグローバルサインによるウェブサイトのサーバー認証や金融業界におけるサービス等の好評可の獲得(楽天リサーチ調べ)
「Axiory」
出典:Axiory
「The Financial Commission」(顧客とFX業者との紛争解決機関)への加盟、IFSC(ベリーズ国際金融サービス委員会)におけるライセンス取得、口座資金の分別管理など
デメリット
海外FXにおけるデメリットももちろんあります。こちらも十分に踏まえ口座開設やトレードを検討することが大切です。
スプレッドが広い
低資金・ハイレバレッジの裏返しといったところでしょうか、海外FX業者が利益を上げるためにスプレッドが国内業者のものと比べ広めに設定されております。
国内の場合、米ドル/円ですと現在最小スプレッドとしては0.3pipsが主流ですが、海外の場合0.8~1.0pips、またはそれ以上になることが多いです。
税金が高い
国内FXで利益をあげた場合は20.315%の税率でしかもこの税率は利益がどんなに多くても一律なのですが、海外FXで得た利益は累進課税により住民税と合わせ最大で55%にもなります。
利益額が330万円以下であれば海外FXでも税率は20%ですので、本格的にFXで稼いでいるという方でしたらこの金額を基準に海外と国内を使い分けるといったやり方も考えられてきます。
出金
国内FX口座の場合は、簡単な出金処理を行えば3~4日後には自分の銀行口座へ無料で入金がなされるのが一般的です。
しかし海外FXの場合は特に初回の出金において、口座開設とは別に改めて住所確認のため公共料金等の領収書(写し)を提出する必要があったり、銀行送金時に2,000円前後の手数料がかかったりすることがあります。
またクレジットカードで最初に入金した部分はそのカード規定における「返品扱い」として無料で返金がされますが、利益部分については上記の送金手数料や送金中に経由する「中継銀行」の数によっては更に手数料が発生する可能性があります。
その他のデメリット
- スワップポイントが買い・売りともにマイナススワップになる場合がある
- ハイレバレッジは急激な損失発生にもなりやすい
- 確定申告で過年分の「繰越損失」ができない
- 経済ニュースが得にくい
- 利用規約が全文英語で書かれている業者もある など
まとめ
海外FXの大まかな説明をしてみました。なぜ海外FXを利用する人がいるのか、またどのようなデメリットが存在するか、まずはこういったポイントを把握することが大切です。
本ページを以下にまとめておきます。
- 海外FXは主にハイレバレッジ・低いロスカットレベル・追証ゼロ・ボーナスが大きな魅力
- 上記メリットと合わせ海外FXならではの特徴が存在
- 公的機関のライセンス取得や資金の分別管理といったセキュリティ面を配慮した海外FX業者が存在
- スプレッドが広いことや税金が高いこと、出金がネックであるといった主に金銭的なデメリットがある事にも注意
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