海外FXは取引する通貨ペアのスプレッドが国内のものと比べ広いのが一般的です。
FXは特にスキャルピングをメインで取引していますと、その取引回数の多さから為替差益だけではなくスプレッドの広さも収支に影響してきます。
しかし、海外FXは高いレバレッジが利用できることやロスカットになりにくいこと、資金の入金に対する「ボーナス」が充実していることなど、それらメリットの大きさも計り知れません。
また実はそのスプレッドが広いことや通貨ペアが多いことで得られるメリットもあります。
そこで今回は、海外FXのスプレッドの広さの理由やそこに隠された利点、豊富な通貨ペアの活用方法などを紹介していきます。
スプレッドの広さが避けられない海外FX
取扱業者数・日本人ユーザー数が上昇傾向
通貨ペアのスプレッドの広さは、海外FXにおけるデメリットの中の1つであります。
表1「海外FX業者における通貨ペアとスプレッド」(例)
業者名 | 米ドル/円 | ユーロ/円 | 英ポンド/円 |
XM(スタンダード口座) | 2.1pips | 6.4pips | 14pips |
FXDD | 1.5pips | 3.5pips | 4pips |
IronFX | 0.9pips | 2.3pips | 4.5pips |
GemForex(オールインワン口座) | 1.2pips | 1.4pips | 1.9pips |
iFOREX | 1.8pips | 1.8pips | 3.8pips |
DMM FX(国内) | 0.3pips | 0.5pips | 1pips |
国内FX業者の例を一番下に取り上げてみましたが、海外FXのスプレッドがいかに広いものであるかが分かると思います。
このスプレッドの広さの理由は後ほど説明しますが、それでも多くの海外FX業者が現在日本人トレーダーへの配慮を強化している状況にあり、ウェブサイトや取引ツールの日本語表記の充実や、日本人スタッフを増員したコールセンターの強化などに取り組んでいます。
それはまた、そもそも日本人の利用者が増加傾向であることの証でもあり、スプレッドの広さを超える多くのメリットが海外FXにあるからであります。
スプレッドが狭い場合もあるが・・・
比較的スプレッドが狭い海外業者や一部サービスも存在します。
表2「スプレッドが狭いパターン」(例)
業者名 | 米ドル/円 | ユーロ/円 | 英ポンド/円 |
GemForex(ノースプレッド口座) | 0.3pips | 0.5pips | 1pips |
TITAN FX(Zeroブレード口座) | 0.33pips | 0.74pips | 1.45pips |
IFC Markets(Meta Trader5) | 0.5pips | 2pips | 4.4pips |
上記のリストにおいてはほぼ国内FXのスプレッドと同じ水準の広さとなっています。
ただ注意することとしましてはGemForexの場合、表1と2にあるように口座の種類によってそのスプレッドに大きな違いがあるのですが、実はそれだけではないのです。
例えば表1の「オールインワン口座」は初回入金額が1ドル(100円)なのですが、表2の「ノースプレッド口座」では3,000ドル(30万円)というような違いがあります。
「GemForexにおける取引口座ごとの性質」
GemForex(オールインワン口座) | GemForex(ノースプレッド口座) | |
*主要通貨のスプレッド | 1.2pips~ | 0.0pips~ |
*最低入金額 | 100円($1)~ | 30万円($3,000)~ |
*利用制限 | 裁量、シストレ可能 | 裁量のみ |
レバレッジ | 1,000倍 | 1,000倍 |
手数料 | 無料 | 無料 |
(注)*は口座によって異なる項目
またTITAN FXにおいてはスプレッドの広さが一般的な口座と狭いものとが用意されておりますが、その狭い方で取引ができる「Zeroブレード口座」では、別途手数料が発生するといったようになっております。
出典:TITAN FX
以上のように、海外FXにおけるスプレッドは国内と比べて広いばかりでなく、複数用意された口座においてその中で異なるスプレッドを設ける取引業者というのも存在します。
こういった場合、単純にスプレッドが広いか狭いかだけではなく、その他のサービス内容とともに総合的に判断していく必要があります。
なぜスプレッドが広いのか?
一見当たり前のことのように思われるかもしれませんが、上記のことが特に強調されるのは海外・国内のFX業者では「顧客からの注文のさばき方が大きく違うから」なのです。
国内外業者の異なる注文処理方法
国内FX業者でトレードする場合は顧客と業者とが「相対取引」という関係となり、国内業者は顧客からの注文の単なる中間処理業者ではありません。
国内業者の場合は、本当は注文通りに売買処理をしていなかったり、顧客の注文と同じタイミングで本物の通貨を調達せず業者の都合のいいタイミングで注文をしている場合が往々にしてあるのです。
そしてその中で、うまく為替差益を獲得し利益を得ているのが一般的です。
海外FX業者の場合は、顧客からの注文通りに実際の通貨を世界中の金融機関等と売買しているので、業者が意図的に為替差益を生み出すことができず、手元に残るのはスプレッド分の利益のみとなってきます。
スリッページ
トレードにおいては使っているFX業者の約定力のことが問題となりますが、国内業者の場合上記のようなバック処理を行っていますので、私たちがクリックしたタイミングで新規エントリーや決済がならない場合(スリッページ)があります。
これが海外FXとなりますと、上記の注文処理の仕方によりスリッページが起きにくく、繰り返しになりますが業者側は設定したスプレッド以上の差益を得ることが難しくなってきます。
出典:AXIORY
真摯な営業スタイル
以上により、海外FXのスプレッドが広くなってしまうのは、取引業者の利益獲得方法が限られているためであり仕方のないところであります。
ただ逆にスプレッドは利益のほぼ全ての源であるという事と、オンライン画面から誰でも見ることが出来るということから、その有り様は非常に透明性が高いものであります。
「言葉も風習も異なるFX業者を使ってお金のやり取りをする」。このことだけで大きな不安感を覚えるのも無理はありません。
しかし、注文処理の仕方や利益の上げ方を見てみますと、海外FX業者がいかに私たちの想像とは異なっているか、また国内FX業者との比較においてどれだけ中立的に業務をこなしているのかが分かるのではないかと思います。
通貨ペアが多いのも海外FXの特徴
通貨、CFDなど豊富な銘柄が当たり前!
海外FXのスプレッドの広さとともに、そのスプレッドと対となっている「通貨ペア」を非常に多く取り扱っているのも海外FXの特徴の1つです。
「海外FX業者でトレードできる通貨ペア数」(例)
(2019年1月現在)
業者名 | 取扱い通貨ペア数 |
Land-FX | 67 |
GemForex | 33 |
HotForex | 49 |
AXIORY | 61 |
IFC Markets | 49 |
FXDD | 54 |
IronFX | 85 |
上記はFXのみ(通貨)の取扱い数ですが、CFD商品などを含めますと、AXIORYでは70種類以上、iFOREXやIFC Marketsでは600種類以上もの銘柄をトレードすることができます。
「通貨以外でトレードできる銘柄」(例)
- 個別株式指数
- 株価指数
- ETF
- 貴金属(金・銀・プラチナ・パラジウム等)
- 商品(原油・天然ガス・砂糖・大豆等)
- 仮想通貨 など
マニアックな銘柄ほどスプレッドが広くなりやすい
海外FXのスプレッドの広さは、マニアックな通貨ペアになるほど広がっていきます。
「マニアックな通貨ペアとスプレッド」(例)
- EUR/AUD・・・6.2pips(ユーロ/豪ドル、AXIORY)
- EUR/ZAR・・・8.01pips(ユーロ/南アフリカランド、TITAN FX)
- USD/CNH・・・9.28pips(米ドル/オフショア人民元、TITAN FX)
- CHF/ TRY・・・56.6pips(スイスフラン/トルコリラ、iFOREX)
- GBP / SEK・・・75.5pips(英ポンド/スウェーデンクローナ、IFC Markets) など
何がマニアックで何がメジャーな通貨ペアかは、海外FXにおいては日本の感覚全てがそのまま当てはまるわけではありませんが、おおよそ日本人でもこれは珍しいなと思えるものはスプレッドが大きく広がっている傾向があります。
ではなぜこういった傾向があるのかといいますと、米ドルやユーロ、英ポンド、日本円、カナダドルなど主に先進国通貨同士のペアは、世界中で需要が多く取引量も多いことから海外FX業者が負担する処理経費がかかりにくいものとなっています。
しかし、それ以外の通貨が絡んだものとなりますと、取引の需要が低かったり所有している金融機関や大口投資家が少なく手に入りにくかったりしてきます。
国内FXのクロス通貨にあるような「中間売買」を介した処理などによって、メジャーな通貨ペアより経費がかかってしまうといったイメージです。
ちなみにTITAN FXでは、メジャーな通貨ペア、マイナーなペアなどといった分け方で取扱い通貨ペアを紹介したりしています。
出典:TITAN FX
海外FX業者が多くの通貨ペアや銘柄を取り扱う理由
先ほど海外FX業者がスプレッドを広めにすることで利益を得ていると説明しましたが、豊富に銘柄を取り扱う理由も、やはり利益を得るために行っていることなのです。
国内FX業者がスプレッドを狭くし通貨ペアも限られたものしか取り扱わないのは、顧客からの注文を相対取引における「呑み行為」や業務上の都合で捌くことで、為替差益による利益が得られるからなのです。
しかし海外FX業者においてはそういった注文処理を行っておらず、様々な通貨ペアや株価指数、商品などを取り扱うことで利益の間口を広げているという事なのです。
従って、こういった銘柄の豊富さをうまく利用して収益を伸ばすという考えもあり得ますが、基本的に非常にスプレッドが広いですので、安易な気持ちで取引を行わないことが大切です。
また最近ではビットコインやイーサリアムなどの「仮想通貨」を取り扱うようにもなってきました。
仮想通貨はその値動きが荒いことでよく知られておりますが、その荒さとハイレバレッジによって瞬く間に損益が大きく変動しますので、取引に興味がある方ならこちらもよく注意してトレードすることが賢明です。
多彩な通貨ペアが取引できるメリットとデメリット
取引のチャンスが増える
文字通りの意味ですが、システムトレードで色々なストラテジーを所有している方や、取引ルールを確立されているという場合は、普段取引している通貨ペア以外にも、海外FXを豊富なバックテスト先として様々な実験を行うことができます。
その中で思いも寄らなかった通貨ペアでいい成績を上げることができたり、新しい取引手法を発見することができるようにもなってきます。
経済ニュースの内容をより具体的に知ることができる
国内FX業者において「経済ニュース」が日々流れてきますが、その中ではニューヨークダウや欧州株式市場、中東の原油に関するニュースなど、FXの通貨以外の情報もたくさん取り扱われています。
しかし活字や数値だけの発表では、あまりこういった情報に慣れていないトレーダーですと理解が難しかったりうまい活用の仕方が分からなかったりするものです。
海外FXにおいてはそういったCFD銘柄を標準で取り扱っている業者が多いですので、チャートのチェックやテクニカル分析を手軽に行うことができます。
ニューヨークダウのチャートにレジスタンスラインを引いて相場全体の暴落時期を探ったり、主にヨーロッパ時間でユーロをトレードしている人であれば、DAX(ドイツ株式指数)やFTSE(イギリス株式指数)の長期足を分析してみるといった使い方が考えられてきます。
出典:AXIORY
(FTSE、週足)
ボラティリティのある通貨ペアを見つけ取引することができる
先ほどのチャンスの多さとも重なってきますが、通貨ペアや取引する時期によってはレートの変動が乏しく思うような値幅が取りづらいといったことがあります。
例えば2017年はニューヨークダウは日々上昇の連続でしたが、FXにおける各通貨はなぜか値動きが大人しく、特に米ドル/円などは非常に利益が出しにくいものでした。
そこで海外FXの豊富な通貨ペアの中からボラティリティが十分なものを探し取引を行ったり、いっそのことニューヨークダウ指数やその他株価指数をトレードするといった大きな路線変更も海外FXでは簡単に行うことができます。
デメリット
様々な通貨ペアに出会うことができても次のようなデメリットも兼ね備えておりますので、取引においては十分な検討を重ねることが大切となってきます。
- スプレッドがとても広い
- スプレッドのチェックや損益計算が面倒
- マニアックな通貨ほどその国や通貨に関する情報が少ない
- 取引の流動性(ボラティリティ)が低いものも珍しくない
- 流動性の低さから急激な相場変動が起こりやすい など
まとめ
スプレッドの広さから、海外FX業者の営業活動の透明性や信頼性を垣間見ることができるものです。
中には不誠実な業者も存在するかもしれませんが、公的機関から金融ライセンスを取得したり各種表彰などを受けている海外業者も数多く存在しております。
以下に今回の内容を整理しておきます。
- スプレッドの広さは海外FX業者の健全な営業の証し
- 豊富な通貨ペアにより利益のチャンスを増やすことができる
- CFD銘柄により経済ニュースを具体的に把握が可能
- 通貨ペアの豊富さに翻弄されずじっくりと取引計画を立てることも重要
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